こんにちは!risachicaです。
PV(ファーマコビジランス)て学問として学ぶ場所や書籍があまりなく、何をガイドとしたらいいのか分からない時、ありますよね。
薬剤疫学がその一部を担ってはいるけれどやはり一部で、PVの業務範囲で必要な知識を言ったらものすごく多岐にわたると思います!
そこで、今日は安全性やってるなら最初に読んでいたら安全性の歴史と背景がすっと頭に入ってすごく楽だったのにな、と思える本を紹介していきたいと思います。
今日紹介する本「くすりの情報」の鍵 ー薬剤疫学的立場からー
本書情報について
今日ご紹介したいのは、以下の本になります↓
「くすりの情報」の鍵―薬剤疫学的立場から |本 | 通販 | Amazon
有馬康雄 著
「くすりの情報」の鍵 ー薬剤疫学的立場からー
著者:有馬康雄
価格:2200円(税込)
出版社:薬事日報社
出版:2005年
かなり前、2005年第一版発行です。
その分、当時の問題点について読みとくことができます。
本の著者情報
著者の有馬康雄さんは1941年生まれ。薬学部を卒業後塩野義製薬に入社され、学術部に配属、今でいうMRの先駆けのようなお仕事をされていたそうです。
その後医薬情報部等勤務され、退職後はくすりの適正使用協議会の理事長を務められていたようです。
中身の目次
Ⅰ なぜ、すべての副作用が判明しないうちに発売されるのか?
(1) ベネフィットもリスクもある
(2) 情報の積み重ねが薬を育てる
Ⅱ くすりの情報は「発売前」と「発売後」では差がある
Ⅲ「発売後」のくすりの情報を入手するには?
(1) 適正に「くすり」を使用するためには?
(2) くすりのデータベース
(3) 不幸な事例から生まれた薬剤疫学
Ⅳ 適正使用の科学
(1) 薬剤疫学の研究方法 観察と介入
(2) 観察研究の方法 記述疫学>症例報告
(3) 観察研究の方法 記述疫学>症例集積報告
(4) 観察研究の方法 分析疫学>対照群のないコホート研究
(5) 観察研究の方法 分析疫学>対照群を置いたコホート研究
(6) 観察研究の方法 分析疫学>ケースコントロール研究
(7) 介入研究の方法 臨床試験
(8) 研究課題と選択すべき研究デザイン
(9) 各研究で配慮すべき点と因果関係の判定
Ⅴ 問題提起から問題解決までの実例
(1) 日本は先進国だった!旧日本海軍と脚気
(2) キノホルム(整腸剤)とスモン
(3) シベンゾリンの低血糖に関する薬剤疫学検査
Ⅵ 得られた情報をどのように生かすか?
(1) ベネフィットとリスクのバランスを示す数式はあるか?
(2) リスク対策
Ⅶ くすりを安全に用いるために、あなたにできる協力
Ⅷ 過去に実施された副作用についての研究
(1) 1970年代に実施された副作用報告症例の解析例
(2) 抗てんかん薬の催奇形性についての調査
(3) イオン性造影剤と非 イオン性造影剤による重篤な副作用の発生頻度調査
(4) 処方箋データから相互作用jの差を指摘した調査
(5) 副作用クレームがキッカケで実施された調査 その1
(6) 副作用クレームがキッカケで実施された調査 その2
(7) 極めて稀に発生する重篤な副作用に関する4ヵ国共同研究
(8) 調査方法の違いによる発生頻度の違い
(9) 全例調査を生かした「小児における使用実態調査」
(10) 調剤薬局に蓄積したデータを利用した「複数診療科受診と重複処方のリスク」調査
(11) 副作用が(場合のよっては)有益となることを示した調査
(12) 地区病院の連携による薬の使用実績調査
(13) 使用実績調査から生まれたジゴシキン(強心剤)の新しい規格製剤
(14) 発売後に重大警告表示や発売中止を要した新薬
(15) 処方箋データを用いた「アスピリンのバッファー剤と腸溶剤の消化管障害比較」
(16) 服薬を自己調節する患者についての調査
(17) モデル薬局によるインシデント・レポート
ちょっとひとやすみ
- 有害事象と副作用
- 「人・年」という表示方法
- 感度と特異度
- 発生率と累積発生率
- コントロール症例の選択肢
- 95%信頼区間
- 信頼性と妥当性の関係
この本でどのようなことが学べるか
PV業務を行う中で出てくるけれどいまいちはっきり意味が分からなかった語句が、
「あ!この言葉よく聞くけどこういう意味だったのかぁ」とか、
「この副作用の事件は知っていたけど、細かくはこういう経緯があったのかー」
とか気付きがたくさんあります。
安全性業務の基礎といえる部分が、ギュッと入っています。
例示もたくさんあり、意味だけ知っていた語句が
実際の対象疾患や数値が入ることで具体的に理解しやすく
またそれらの実際の例が数多く示されており、歴史的な出来事について詳細をつかめます。
おススメポイント
大体150ページと読みやすい薄さの本で手軽に手に取れ
これ1冊で、薬の安全性業務の基礎の基礎は網羅されています!
またスタディの種類とエビデンスとしてどちらが上であるか
そういった部分まで記載しており、最初に知っておくと後で楽になるだろうなと思いました。
発行年は古いですが、「安全性情報収集業務の成り立ち」とでもタイトルがつくような
今も入門書として使えるような本だと思います。
一方、日本の2005年以前の事例紹介に集中しているため
ICHや各国の動きを参照した時系列的な動きについてはまた別に参照する必要があるかと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
私は旧日本海軍の脚気の調査についてはまったく知らなかったので、
こんなことをやってたんだなと興味深かったですし
目次を見ているだけでまさにPV業務に特化しているなと思えるような本なので
おススメです。
既に今製薬企業やCROで業務を行っている方にも
これまでばらばらに知っていた知識のまとめみたいな感じで有益かなと思います。
よかったら是非手にとってみてください。
ではでは。
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