こんにちは!risachicaです。
最近また種々タスクが積み重なり、忙しくなってきています。
今日は、最近ちょうど立て続けに対応が入ってきているので、監査・査察について書いてみようと思います。
監査って急にきますし、準備期間も多くないです。
(そもそも、通常業務がきちんと実施されているかの調査なので当たり前ですが‥)
大体の企業では、監査対応を主業務として行い、各部門のタスク実行と規則遵守状況を管理している部門がありますが
実務を実施している部門は、急に降ってきた監査のリクエストに対して、対応のため招集されます。
今、別業務の対応に追われている時もです。
普段から監査がいつ入ってもいいように意識してきちんとタイムライン通りに業務を実施し
記録し関連ドキュメントを格納して整理していれば何も問題ないのですが、
改めてそれを外部に見せることで、襟を正す気持ちになれる機会です。
逸脱せず業務を適正にすすめて記録も適切に保管していないといけないと、再度認識すると同時に
終わったらすごくホッとする事項でもあります…
ただ、監査の内容については、審査官や企業によりかなり違うので、「これが一般的なやり方なのかな?」というのもなかなか見えないと思います。
そこで、今現在も複数プロジェクトを持ち、今までいろいろなグローバル企業で外部・内部の両方の監査を受けた経験を持つ私の視点から、
監査の全体像と流れについて、現場の実務にすぐ参考にできるよう、できるだけ嚙み砕いて書いていきたいと思います!
監査の流れ
監査実施の決定から、ざっくり以下のような進行になります。
- 監査実施の連絡(審査人)
↓ - スケジュール設定
↓ - 事前質問
↓ - 監査実施当日
↓ - 監査後対応
これらの事項を担当部署が主導して、コーディネートし各部門と連携をとりすすめていきます。
文章にすると簡単ですが、全てのタスクについて漏れなく抽出しリスト化し、記録の格納を確認し、想定されるリスクについて洗い出し評価するとなると、かなり大変な作業です。
監査の対応をする責任者は、全ての手順をorganaizeされた状態で頭に入れておかないといけません。
それも臨床、ライティング、PV、メディカルレビュー、ベンダー管理までの一連業務について
すべて対応していくので
どの業務についても知識を持ち把握してないといけないですし、
日常業務を行う各部署に協力を要請しリードしていくのは、統率力や調整力がいる、難易度の高いタスクです。
監査実施の連絡
まず企業の査察・監査部門に監査の実施連絡が入り、そこから各部門の担当者に連絡がきます。
そこから資料の準備や質問回答のタスクが割り振られていきます。
スケジュール設定
事前に監査のagendaを設定し、各担当者で共有していきます。
治験に対する監査のagendaに挙げられるtopicとしては、以下のようなものがあります。
- Quality Management System
- Project Management (resource, vender, dataflow, communication, training, deviation, quality, risk…)
- Site management
- Medical Monir
- Regulatory Affair
- Data Management
- Computerized System
- Biostatistics
- Contract
- Documentation System and so on….
ざっくり書きましたが、それでも多いですね!
これらを各部門が自身の担当箇所について対応していくことになります。
事前質問
事前準備は、リストできますが多いです。これも審査官やプロジェクトによるかもしれませんが、
20-50個も事前に用意する事項がリストで来たりします。
質問の例示としては、以下のようなものがあります。
- 組織の構成と対応人数はどうなっているか?
- 対応フローはどのような構造になっているか?
- 過去の査察の結果はどうだったか?
- IB/protocol等の変更履歴はどうなっているか?
- どのSOPを参照しているか?
- 逸脱の記録はどのようになっているか?
- データロック日はどのように設定されているか?
- Evidenceの格納箇所はどこか?
- 使用しているシステムは何か?
- 使用しているTemplateはどれか?
- 想定しているRiskとその評価はどうなっているか?
- ベンダー管理はどうなっているか?
- 各ステークホルダーとの伝達はどのようになっているか?
- Trainingはどのように実施しているか?
- Business Contunuity Planについてはどうなっているか?‥‥
細かいですね!
当日対応
準備によって質疑応答が十分なされている場合は
当日はそこまで重箱の隅をつつくことなく、粛々と進行していくことが多い印象です。
審査官に質問されて何を答えるか?を考えるのは緊張するひとときで、
審査官によっては、答えるまでじっと待つので、焦りからつい余計なことを言ってしまいそうですが
それは審査官が沈黙を作ることで実際の現場の対応を引き出そうというテクニックの一つですね。
焦らず、もしどこまで答えていいか分からない事項については、
後で関連ドキュメントを提出することにして持ち帰ったほうがbetterな対応かと思います。
ただ、実際監査でどのくらい深堀りされるかというのは
審査官によって大きく違う?と感じます。
大きくは規制で定められている事項を遵守するということになりますが
まだ現場で実施すべき確認すべき事項について、各企業により異なり実施部門もテンプレートも統一されていないですし
監査に関しても統一化され構造化されたスタンダートとなっていないという状況もあるかもしれません。
監査後対応
監査でのissueについては、重大なものから以下のレベルに分類されます!
- Critical Finding
- Major Finding
- Minor Finding
- Recommentdation
実際にMajor Findingとなることは多くはないですが、
Major Finding以上になると、CAPA (Corrective Action & Preventive Action)を作成する等の対応が更に必要となってきます。
参照資料
他社における監査の結果は、既に外部に公開されているものもあり
”Audit”, “Inspection”, “report” + 企業名、
また、関連資料については“Pharmacovigilance”, “GVP”, “GCP”等のキーワードを追加すると見つけることができます(英語の方が出てくる資料が多いです)。
また直近で、公認内部監査人(CIA)の資格を持つ著者が書いた、GRC(ガバナンス、リスクマネジメント、コンプライアンス)を軸に海外子会社経営を成功に導くコツを網羅的に解説してあり、
監査の建付けやリスク抽出も含めて書かれた本をおススメしている記事をあげてます。
よかったら見てみてください!
PV監査のICH規制
Global基準の監査基準についての記載は、ICH-GVPのModule IV-Pharmacovigilance audits (Rev 1)で規定されています。
Good pharmacovigilance practices (GVP) | European Medicines Agency (EMA)
こちらのGlobal基準を把握しておくと
Globalから問い合わせがきた際に、なぜその問い合わせをしているか?の背景が分かるので答えやすいと思います。
おわりに
今回は監査・査察について書いてみました。
こうやって見ていくと、普段から業務を実施するだけでなく、
そのシステム維持と更新についても
常に手入れをし、現場や規制の変更と齟齬がないように努める必要があります。
最初のシステム構築もそうですが、
SOP等で逸脱を管理し、それらがきちんと構築され相互作用しながらworkしていることを日々監視し更新していく
それこそが重要な部分で
監査以前にno issueを毎日積み重ねていく努力が、ひいては大事になる企業信頼、実績の蓄積、業績の向上につながっていくのだと思います。
今回は、現場のテクニカルなTipsも含め今の私の視点からお伝えしていければと思い、この記事を書いてみました。
今後も知識や方法については更新していくと思いますが
自分の知識の整理という意味もあり、この記事がどなたかのお役に立てばうれしいです。
ではまた!
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